刊行物
肾移植とともに
搁痴选书
金沢医科大学名誉教授
津川龙叁
金沢医科大学出版局
ISBN4-906394-26-4
本体900円+税
叠6判
180ページ
1999年8月1日
在库なし

著者の津川龙叁金沢医科大学名誉教授は、わが国における腎移植の研究にその実験的段階から携わってきた。優れた業績は申し述べるまでもないが、特に、北陸地区での腎移植推進に関し多大の貢献があり、金沢医科大学泌尿器科学教授を退任後も、石川県臓器移植推進財団理事として現在活躍中である。
本书は、着者の主として肾移植をテーゼとするエッセー集である。肾移植という専门的な分野について一般の読者にも理解できるよう平明に着述されているのは、着者の豊富な学识と泌尿器科医としての40年を超える経験がなせる业であろう。
本書によれば、著者は41年前に慢性腎炎の同級生の死に会い、その6年後にStarzl著「Experience in Renal Transplantation」に出会って斯道邁進を決意し、研鑽を重ねた後の1975年に、金沢医科大学で腎移植の臨床第1例を成功。それ以来同大病院では233例の腎移植を達成してきた。著者はまさに腎炎に苦しむ患者の救済のため、半生を肾移植とともに歩んできた。
今年1999年は、わが国で初めて臓器移植法のもとに脳死臓器の移植が行われた、记念すべき年である。宫城県からの提供例の直后の6月中旬に、着者は地元纸のコラムに次を寄稿している。
「……1995年の报告では、死体肾移植の3年生着率は米国で92%、日本で80%である。この差は技术的なものではなく、脳死下摘出の米国に比べ、当时の日本の社会状况から心臓停止后にしか摘出できなかった肾臓の生化学的活性度の差とみられる。……日本の臓器移植は欧米に30年遅れたが、手术、免疫抑制、感染予防などいずれもうまくできることもわかった。日本人はダメな民族ではない。あとは臓器提供、移植医疗を理解し応援するなど国民全体で支えていくことであろう。」
ここに本书执笔を决意した着者の动机がよく表れていると思われる。すなわち、若い医学生たちには先辈に続いてこの道に进むことへの期待を、一般の読者には移植医疗への理解を、それぞれ目的として执笔し、そして见事に成功を纳めているのが本书である。